ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)の山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)が、ワールドシリーズでの完投勝利を果たした。その内容はまさに完璧に近いものであり、試合後には関係者から「一つのミスもなかった」と語られるほどのパフォーマンスだった。
「一つのミスもなかった」と称賛 ポストシーズン2試合連続完投は24年ぶり
ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)の山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)は、ワールドシリーズでの完投勝利において驚異的な集中力を発揮した。
「彼は一つのミスも犯さなかった」と試合後に称賛された。
山本はこの試合で、ポストシーズンにおける2試合連続完投を達成。これは過去24年間で初めての記録である。
山本由伸、静寂の中で支配する――ブルージェイズを沈黙させた圧巻の完投劇
トロント発 ― 山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)は、ひとりマウンドに立っていた。視線は捕手のミットを見据えている。数秒間、深呼吸すらしない。落ち着くための間も必要とせず、1ボール2ストライクからジョージ・スプリンガー(George Springer)に対し、内角高めへ時速96マイル(約154キロ)の速球を投げ込み、空振りを奪った。続く打者のネイサン・ルークス(Nathan Lukes)には、外角低めへ時速97マイル(約156キロ)の速球で見逃し三振。山本は、瞑想するような静けさに包まれて生きている。
それが彼のポストシーズンを特徴づけている。表情に表れる静けさ。全身に漂う静謐な雰囲気。混沌はすべて、投げるボールに込められている。
そしてまた今回も、投げ終えたときには、相手打線は沈黙していた。山本は、ポストシーズン2試合連続となる完投を記録した。今回は、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)が5対1で勝利し、2025年のワールドシリーズはトロント・ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)との対戦で1勝1敗のタイに戻した試合だった。支配力は変わらず、精神性も変わらない。
今回、ロジャース・センターの観衆は、山本の圧倒的な投球により静まり返った。わずか24時間前、この球場は熱狂に包まれていた。ブルージェイズがポストシーズン最も好調だった先発投手を攻略し、大事な場面で崩れるブルペンを打ち崩していたからだ。しかし、トロントは山本を崩すことはできなかった。
山本由伸、極限の集中と至高の投球で歴史を切り拓く
24年ぶりのポストシーズン連続完投、ブルージェイズ打線を静めた芸術的マウンド支配
あまりに冷静な表情。
あまりに電光石火の腕。
あまりに完璧すぎる投球内容。
試合後、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)の監督デーブ・ロバーツ(Dave Roberts)はこう語った。
「素晴らしかった。極めて競争心が強く、特別な投手。今夜の彼は完全に集中していたよ」
一塁手のフレディ・フリーマン(Freddie Freeman)も称賛を惜しまなかった。
「本当に驚異的だよ。6回くらいになったときに思ったんだ。どれだけ冷静で、試合を完全に掌握しているかって。彼がやろうとしていたこと、4~5種類の球を完璧に操っていて、小さな虫でも狙えるような制球力だった」
しかし、山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)が再びこの高みに到達するとは、誰も確信していなかった。
ポストシーズンで2試合連続完投を達成した投手は、2001年のカート・シリング(Curt Schilling)以来初めてである。
1回表の内容は、前日に登板したブレイク・スネル(Blake Snell)の立ち上がりを思わせるものだった。
トロント・ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)は、先頭のジョージ・スプリンガー(George Springer)が二塁打を放ち、続くネイサン・ルークス(Nathan Lukes)のシングルで無死一三塁のチャンスを作る。
そして打席には、ポストシーズン最も好調な打者、ブラディミール・ゲレーロJr.(Vladimir Guerrero Jr.)が立ちはだかっていた。
大舞台の緊張が高まり、打席に立つ名前がより大きくなるにつれ、山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)は再びあの静寂のゾーンへと戻っていった。
まるで、荒波の中にいるからこそ、浮かび続けていられるかのようだった。
彼は、ブラディミール・ゲレーロJr.(Vladimir Guerrero Jr.)をカーブボールで空振り三振に仕留めた。
パワーヒッターのゲレーロはベンチへ戻る際、苛立ちから声を荒らげた。
続くアレハンドロ・カーク(Alejandro Kirk)には、フレディ・フリーマン(Freddie Freeman)へのソフトなライナーを打たせ、
最後はドールトン・バーショー(Daulton Varsho)を三振に切って取り、1回表の危機を無失点で切り抜けた。
Yoshinobu Yamamoto, Yo Yo Curves. 🪀 pic.twitter.com/iGQA2RKKGT
— Rob Friedman (@PitchingNinja) October 26, 2025
「一番すごいと思ったのは、あの初回を無失点で切り抜けたことだね」
クレイトン・カーショウ(Clayton Kershaw)はそう語った。
「無死一三塁でバッターはブラディ(ゲレーロJr.)。そこからどうにかして自分の力で抜け出して、その後も球数を抑え続けたんだから」
それでも球数に関しては、デーブ・ロバーツ(Dave Roberts)監督は半信半疑だった。
山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)は、最初の3アウトを取るまでに23球を要した。
思い出してほしい。ブレイク・スネル(Blake Snell)は、シリーズ第1戦の初回に29球を投じている。
「あの初回の後、私は『6回まではいける』と思ったよ」
とデーブ・ロバーツ(Dave Roberts)監督は振り返った。
「彼なら6回は何とか投げきるだろうと感じていた。トロントはスイングの積極的なチームだからね」
しかし、その積極性がこの試合ではトロントの裏目に出た。
2年目の日本人右腕、山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)は、3回に1点を失って1対1の同点とされたが、
その後は最後の20人の打者をすべて打ち取った。
投球数はほとんど増えていないかのように感じられた。
初回を除く各回の平均投球数は10.3球で、最終的な総投球数は105球だった。
「信じられないような内容だった」
ジョージ・スプリンガー(George Springer)はそう語った。
「彼は自分の得意なことをやっているだけなんだ。5~6種類の球を自在に使い分ける。彼がなぜあの存在なのか、よく分かる内容だったよ」
これこそが、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)が山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)を日本から獲得するために全力を注いだ理由だった。
これこそが、昨シーズン前に彼に投手として史上最高額となる12年3億2500万ドル(約495億円)の契約を結んだ理由だった。
こういう時のために。まさにこの瞬間のために。
球団は、山本が職人のように精密な投球をすることを分かっていた。
1球ごとに信念を込めて投げることも。
そして、観客を沈黙させるような腕を持っていることも。
この日ロジャース・センターに詰めかけた4万4607人の観客を相手に、そのすべてを体現した。
ドジャースは、彼がどんな相手であっても競り勝てると信じていた。
そしてその通り、山本はこの日、ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)の先発ケビン・ゴーズマン(Kevin Gausman)との投げ合いを制した。
ゴーズマンもまた素晴らしい内容を見せていた。
マウンドにひとり立ち、敵地でMLBトップクラスの打者を相手に1球ずつ勝負を挑む。
その中でも、山本は決して動揺せず、崩れることはなかった。
沈むこともなかった。
山本はただただ圧倒した。
彼はただ圧倒した。
「金曜日の敗戦は大きかったです」と山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)は通訳を通じて語った。
「言うまでもなく、今日は絶対に勝たなければならない試合でした。ですから、そういう気持ちでこの試合に臨みました」
シリーズはこれでロサンゼルスに舞台を移す。
だが、流れとしてはこのまま第6戦で再びトロントに戻ってくることが不可避にも感じられる。
ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)がもう一度、山本に挑戦する機会を得る――それが当然のように思えてくる。
実際、土曜日の試合はドジャース(Los Angeles Dodgers)の手にあるようには見えなかった。
それは常に、山本の手中にあるように感じられた。
そして彼は、それを決して手放さなかった。
静けさはあまりにも本物だった。
ウィル・スミス(Will Smith)のキャッチャーミットが鳴らす音は、あまりにも鮮烈だった。
ブルージェイズは、なすすべもなかった。
山本の完投は、彼のこの夜の投球内容と完全に呼応する“完璧さ”だった。
「今夜の彼は一つのミスもしなかった」と、ジョージ・スプリンガー(George Springer)は語った。
彼の“あり方”が、それを許さなかった。

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