「史上最高の若手先発投手」リストの頂点に、自らの名を刻み続けているポールスキーンズが木曜日の夜、レッズ戦で見せた登板で、またしても注目すべき出来事がありました。
信じられないかもしれませんが──キャリアで初めて、1試合で7安打を許したのです。
キャリア47先発登板で“初”の7被安打
これが起こるまでに要した登板数はなんと47試合の先発登板。それでも今回も6回無失点で切り抜けたため、失点はゼロ。
つまり、結果的には“問題なし”だったわけです。
しかし、この「被安打7」が話題になる時点で彼の異常な凄さが分かります。
キャリア開始から6安打以下で抑えた連続試合数(各試合2イニング以上)
- ポール・スキーンズ — 47先発(2024–25)
- アレク・マノア — 22先発(2021–22)
(※2イニング未満を含めれば、リリーバーのライアン・スタネックが56試合でトップですが、彼は先発投手ではないため別枠扱い)
Shohei Otani(大谷翔平)も2020年開幕直後に短い先発を2度挟んでいるため、上の条件を緩和すれば31試合で2位に入りますが、それでもスキーンズには大きく及びません。
2年連続で防御率1点台の可能性
2024年:23登板、防御率1.96
2025年:24登板、防御率1.94(現時点)
このままいけば、MLB史でも極めて稀な「2年連続防御率1点台」をデビューから達成することになります。
ライブボール時代と呼ばれる1920年以降でキャリアのどこかで2年連続防御率1点台を記録したのは以下の4人のみ(23登板以上が条件):
- ハル・ニューハウザー(1945–46)
- サンディ・コーファックス(1963–64)
- グレッグ・マダックス(1994–95)
- クレイトン・カーショウ(2013–14)
この4人全員が殿堂入り投手(カーショウはほぼ確実)です。
さらにこの条件を1913年(自責点の公式化がされた年)まで遡っても、これを上回るのは伝説の投手、ウォルター・ジョンソン(1913–16の4年連続)とグローバー・C・アレクサンダー(1915–17の3年連続)のみ。
しかもスキーンズはまだ23歳。1913年以降、23歳以下で2年連続防御率1点台を記録した投手はいるのか?
答えはゼロ。
最後にこれを達成したのはウォルター・ジョンソン(1910–11)です。
つまり──我々はいま、ウォルター・ジョンソン以来の超支配的な若手先発投手を目撃しているのです。
きっとあなたは115歳以下だと思われるので見たことがないレベルのピッチャーを見ているといっても過言ではありません。

- 通算成績:417勝(歴代2位)、防御率2.17、奪三振3,509(当時歴代1位、50年以上破られず)
- シーズン防御率1点台を13回記録
- 1913〜1916年には4年連続防御率1点台、1913年は防御率1.14で36勝
- 通算110完封はMLB史上ダントツ1位
つまり、1世紀以上前にもかかわらず、彼の多くの記録は未だ破られていないレジェンド選手です。もはや神話といっても過言ではありません。
さらに100年以上前の投手との比較という点
1913–14年当時は、シーズン20本塁打を放った打者がゼロという時代。そんな環境と比べれば、現代での達成がどれほど困難かは明らかです。スキーンズは、そのハードルを真正面から越える可能性があります。
忘れてはいけない──彼は弱小パイレーツの投手だという事実
もし彼が他球団に所属していたら、今季の成績は22勝2敗くらいになかったかもしれないレベルの投球だ。
ただ現実はパイレーツ所属──防御率1.94で7勝8敗という信じがたい数字です。
ここで疑問が湧きます。「こんなに防御率が良いのに、シーズンを負け越しで終えることは本当にあり得るのか?」
答えは「はい」。つまり前例は存在します。
それを最後に成し遂げた先発投手を見つけるには、タイムマシンで112年前まで遡らなければならないのです。
1913年、ジム・スコット(ホワイトソックス)が防御率1.90で20勝21敗を記録。

比較のピッチャーが全員100年以上前の神話みたいなピッチャーばっかりすぎないか…?



本当はもっともっと騒がれても良いレベル!
スキーンズは、私たちが生きている間に二度と見られないかもしれないレベルの投手。数字と歴史がそれを証明しています。そして、まだこの物語は終わっていません。
スキーンズの凄さを測る唯一の方法──それはタイムトラベルしかない
ポール・スキーンズのような唯一無二の才能が現れた時、その偉業を正しく位置付ける方法はただ一つ──時空を超えて過去と比較すること。
私たちは、これまで一度も見たことがなく──そしておそらく二度と見ることはないかもしれない投手のパフォーマンスをリアルタイムで目撃しているのです。
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