マイク・トラウト(Mike Trout)がついに通算400本塁打を達成した。しかし、このLos Angeles Angels(ロサンゼルス・エンゼルス)の主砲が500本塁打に到達できるのかという問いには、必ずしも明るい答えが用意されているわけではない。トラウトは近年、度重なる故障により出場機会を大きく削られてきた。これが彼のキャリアの本塁打ペースに大きな影響を与えているのである。
BREAKING: MIKE TROUT HITS CAREER HOME RUN NO. 400 ‼️ pic.twitter.com/2sn9SjtPFr
— MLB (@MLB) September 21, 2025
MLB史でわずか59人目、中堅手としても歴史に名を刻む快挙
ロサンゼルス・エンゼルス(Los Angeles Angels)の長年のスーパースター、マイク・トラウト(Mike Trout)が土曜日、ついに通算400号本塁打を放った。トラウトは1か月以上も398本で足踏みしていたが、ようやく大台に到達した。
この節目は極めて大きな意味を持つ。MLBの長い歴史の中で、400本塁打に到達したのはわずか59人目に過ぎない。殿堂入り外野手の中にも、アル・ケーライン(Al Kaline/399本)、ハロルド・ベインズ(Harold Baines/384本)、ラリー・ウォーカー(Larry Walker/383本)、ジム・ライス(Jim Rice/382本)のように、あと一歩届かなかった名選手が存在する。
さらに中堅手という括りで見れば、トラウトは400本塁打に到達した8人目となる。先人にはウィリー・メイズ(Willie Mays/660本)、ケン・グリフィー・ジュニア(Ken Griffey Jr./630本)、ミッキー・マントル(Mickey Mantle/536本)、アンドレ・ドーソン(Andre Dawson/438本)、カルロス・ベルトラン(Carlos Beltrán/435本)、アンドルー・ジョーンズ(Andruw Jones/434本)、デューク・スナイダー(Duke Snider/407本)が名を連ねている。
改めて言うまでもなく、この数字はどの選手にとっても極めて重要なマイルストーンである。
それでもなお、キャリア初期にマイク・トラウト(Mike Trout)が自ら築き上げた“超高層ビル級”の基準のおかげで、我々は常にその先を期待してしまう。MLB史において真のスラッガーの証とされるのは、やはり500本塁打の壁だ。
トラウトは500本塁打に到達できるのか
マイク・トラウト(Mike Trout)はキャリア序盤、快調なペースで本塁打を量産し、500本塁打達成は有力視されていた。27歳シーズン終了時点で既に285本を放ち、2012年から2019年までの平均は年間35本というハイペースだった。
しかし、近年は明らかにペースが落ち込んでいる。その主因は故障だ。野球において30代半ばに差し掛かった選手の将来の故障リスクを最も強く示す指標は「過去の故障歴」である。トラウトは2021年に36試合、2022年に119試合、2023年に82試合、そして昨季はわずか29試合の出場にとどまった。今季も故障者リスト入りを経験している。
それでも、出場さえすれば本塁打を量産している点は見逃せない。直近6週間を除けば、2022年には119試合で40本、昨年は29試合で10本を記録している。COVID-19で短縮された2020年を含め、トラウトは2019年以降フルシーズンを戦えていないが、それ以降の162試合換算本塁打数は42本に達している。打撃力自体は依然として一線級だ。ただし問題は「十分な出場機会がない」という一点に尽きる。
出場試合数は上向きだが、直近は本塁打率が鈍化—年齢・契約年数を踏まえた必要本数の試算
今季について前向きな材料は、マイク・トラウト(Mike Trout)が2019年(124試合)以来で最も多くの試合に出場できる見込みだという点だ(残り1週間を残して)。一方で懸念材料は、本塁打率が鈍化し始めていること。ただしこれはいつでも変わり得る。
トラウトは現在34歳で、ロサンゼルス・エンゼルス(Los Angeles Angels)との契約は残り5年ある。仮に今季残り試合で1本も本塁打を打たず、契約満了直後に引退するとしても、500本に到達するには残り契約期間でシーズン平均ちょうど20本が必要になる。
直感的には、届かないという見立てになるだろうか。
以下に、トラウトがちょうど500本に到達するための仮定的なシーズンごとの本塁打内訳を示し、その合理性を検証していく。
トラウト500本塁打の可能性と現実
仮定シナリオの試算
- 2025年残り:1本
- 2026年:28本
- 2027年:23本
- 2028年:19本
- 2029年:16本
- 2030年:13本
このシナリオでも到達はやや苦しい。実際にトラウト(Mike Trout)は今季ここまで22本にとどまっており、近年のペースを考えるとやや楽観的な想定だと言わざるを得ない。むしろ次の2シーズンで想定以上の数字を積み上げつつ、最後の数年で大きく落ち込むという展開の方が現実味がある。
ただし故障がその道を大きく左右する。ここ数年のトラウトは故障続きで、それが本塁打数を大きく削ってきた。もし再び長期離脱があれば、500本への道は一気に閉ざされるだろう。
Bill James の「Favorite Toy」予測
野球統計のパイオニア、ビル・ジェームズ(Bill James)のツール「Favorite Toy」によると、トラウトが500本塁打に到達する確率はわずか5%。最終的な通算本数は454本にとどまると予測されている。
筆者としては、この5%という数字はやや低すぎると感じる。トラウトが500本塁打に届く可能性はそれ以上あるはずだ。しかし、それはファン心理ゆえの楽観なのかもしれない。直近の故障歴が、この議論全体に暗い影を落としていることは否めない。
結論
最も現実的な見立ては、トラウトは500本には届かないというものだろう。しかし、可能性がゼロではない以上、本人が最後に何らかの形で到達してしまうシナリオも捨てきれない。
いずれにせよ現時点で楽しむべきは、トラウトが400本塁打という偉大なマイルストーンに到達し、2019年以来2番目に多いシーズン本塁打数を記録しているという事実だ。これは彼のキャリアにおける大きな光であり、今後の挑戦に向けた新たな出発点でもある。
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