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9月に突入し、強豪相手か、それとも下位相手か――命運を分ける日程分析

MLBのポストシーズン争いが激しさを増す9月。ここからは、残り試合の対戦相手が「有利に働くチーム」と「不利に働くチーム」を日程の強弱から分析していく。スケジュールの難易度が、各チームの最終順位を大きく左右する可能性がある。

目次

タフな日程か、恵まれた日程か――ポストシーズン進出を左右する“Xファクター”

メジャーリーグのレギュラーシーズンは残りわずか3週間。
1日ごと、1試合ごとに、その重みは増しているように見える。
もちろん、厳密に言えば9月の勝利も4月の勝利も同じ1勝である。
しかし、5か月以上の戦いを経てプレーオフ争いの輪郭がはっきりしてきた今となっては、各試合が持つ意味を具体的に理解しやすくなっている。

その中で、スケジュールはシーズンの最大の“Xファクター”のひとつだ。
MLBはカレンダーをできるだけ公平に設計しており、地区内の対戦数や他地区の対戦数は規定に基づいている。
それでも現実には、シーズン終盤の数週間で「有利なカード」を手にするチームもあれば、「厳しい相手と連戦」を強いられるチームも出てくる。もちろんそこに不公平な意図はない。これこそがスポーツの宿命だ。

そうした状況を踏まえ、「残り日程が最も楽なチーム5つ」と「最も厳しいチーム5つ」を取り上げることにした。

調査方法について

  • 「コンテンダー(contender=有力チーム)」の定義は、現時点でプレーオフスポットから5ゲーム以内に位置するチームとした。
  • 順位付けには Tankathonの“Strength of Schedule”指標(残り対戦相手の勝率合算)を用いた。
  • 各チームの日程はシリーズ単位で記載(特記なき場合は3試合シリーズを想定)。
  • プレイオフ進出確率は SportsLine のデータを参照。

最も残り日程が楽なチーム(Easiest Remaining Schedules)

1. サンディエゴ・パドレス (San Diego Padres)

対戦相手勝率:45.9%
残りシリーズ: vsレッズ、vsロッキーズ(4試合)、vsメッツ、vsホワイトソックス、vsブルワーズ、vsダイヤモンドバックス
プレーオフ進出確率:97.9%


この分析手法によると、パドレスの残り日程はメジャー全体で2番目に“楽”なスケジュールとなっている。6つの対戦相手のうち4つがコンテンダーであるにもかかわらず、なぜそうなるのか。その理由は、シカゴ・ホワイトソックス(Chicago White Sox)とコロラド・ロッキーズ(Colorado Rockies)の不振にある。この2チームがあまりに低迷しているため、パドレスの「残り対戦相手の勝率」を大きく引き下げているのだ。

さらに有利なのは、数字には含まれていない要素だが、残り19試合中13試合が本拠地ペトコ・パークで行われる点である。最近のパドレスは苦戦が続いているものの、このスケジュールがNL西地区争いで明確なアドバンテージを与えている。

2. シアトル・マリナーズ (Seattle Mariners)

対戦相手勝率:47.5%
残りシリーズ: カージナルス、エンゼルス(4試合)、@ロイヤルズ、@アストロズ、ロッキーズ、ドジャース
プレーオフ進出確率:88.6%


シアトル・マリナーズ (Seattle Mariners) は後半戦でヒューストン・アストロズ(Houston Astros)に追いつき、あるいは追い越すチャンスを何度も得てきた。しかし、ここまでのところその機会を十分に生かし切れていない。残りのレギュラーシーズンで巻き返せるかどうかは、まだ未知数だ。

特に、アストロズとの残りシリーズは極めて重要となる。もしア・リーグ西地区の優勝争いが最後まで接戦となれば、この3連戦を制したチームが地区のタイブレーク権を獲得することになるからだ。

3. ニューヨーク・ヤンキース (New York Yankees/ニューヨーク・ヤンキース)

対戦相手勝率:47.7%
残りシリーズ: vsタイガース、vsレッドソックス、vsツインズ、vsオリオールズ(4試合)、vsホワイトソックス、vsオリオールズ
プレーオフ進出確率:100%


ニューヨーク・ヤンキース (New York Yankees) ファンには苛立ちの理由が数多くあるだろう。しかし、残りスケジュールに関してはその対象外だ。来週末のボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)とのシリーズが終われば、レギュラーシーズン終了まで、ヤンキースはプレーオフ進出圏内にないチームとのみ対戦することになる。

言い換えれば、シーズン最終2週間を「非競争的な相手」だけとの試合で締めくくる形になるということだ。もしア・リーグ東地区の争いが接戦となった場合、この“甘い”終盤の日程が決定的なXファクターとなる可能性がある。

4. ロサンゼルス・ドジャース (Los Angeles Dodgers/ロサンゼルス・ドジャース)

対戦相手勝率:48.3%
残りシリーズ: vsロッキーズ、vsジャイアンツ、vsフィリーズ、vsジャイアンツ(4試合)、vsダイヤモンドバックス、vsマリナーズ
プレーオフ進出確率:97.5%


前述のパドレスのケースと同様に、コロラド・ロッキーズ(Colorado Rockies)の低迷が残り対戦相手の勝率を大きく引き下げている。ドジャースの残り日程もこの影響で「比較的楽」と数値上は見える。

しかし、ロッキーズ戦が終われば、シーズンはプレーオフ進出を狙うチームとの5シリーズ連続で締めくくられる。その中にはシーズン最終週の6連戦ロードも含まれており、実際には数字ほど簡単な日程ではない。

それでも今週のロッキーズ戦できっちり勝ち越すことができれば、その後の厳しい戦いを乗り切るための布石となるだろう。

5. サンフランシスコ・ジャイアンツ (San Francisco Giants/サンフランシスコ・ジャイアンツ)

対戦相手勝率:48.5%
残りシリーズ: vs ダイヤモンドバックス、vs ドジャース、vsカージナルス、vsロッキーズ
プレーオフ進出確率:10.4%


ここでも再び、コロラド・ロッキーズ(Colorado Rockies)の低迷が数字を歪めている点を指摘しなければならない。ジャイアンツの残り日程は一見「楽」に見えるが、実際にはシーズンの最後を6シリーズ中5つ、ポストシーズンを狙うチームとの対戦で締めくくることになる。

特に、アリゾナ・ダイヤモンドバックス(Arizona Diamondbacks)とセントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals)との9試合は、ワイルドカード争いにおける直接対決だ。したがって、数字上は日程に恵まれているように見えても、ジャイアンツには自力でポストシーズンへの道を切り開くチャンスが残されている。

最も残り日程が厳しいチーム(Toughest Remaining Schedules)

1. セントルイス・カージナルス (St. Louis Cardinals/セントルイス・カージナルス)

対戦相手勝率:55.6%
残りシリーズ: vs マリナーズ、vs ブルワーズ、レッズ、ブルワーズ、vs ジャイアンツ、vs カブス
プレーオフ進出確率:1%未満


セントルイス・カージナルス (St. Louis Cardinals) は、このリストに含まれるチームの中でポストシーズン進出から最も遠い位置にいる。それだけで10月への道は困難だが、さらに残り日程はすべてコンテンダーとの対戦という厳しい内容になっている。

唯一の希望を見出すとすれば、適切なタイミングで勢いに乗ることができれば、短期間で大きく順位を押し上げられる可能性がある点だ。しかし現実的には、ポストシーズンで本格的に戦うチャンスを見込むのは難しいだろう。

2. シンシナティ・レッズ (Cincinnati Reds/シンシナティ・レッズ)

対戦相手勝率:52.4%
残りシリーズ: vs パドレス、vs アスレチックス、vs カージナルス、カブス(4試合)、パイレーツ、vs ブルワーズ
プレーオフ進出確率:6.7%


セントルイス・カージナルス (St. Louis Cardinals) とシンシナティ・レッズ (Cincinnati Reds) の残り日程の難しさを、単なる数字だけで比較するのは誤解を招くかもしれない。なぜなら、レッズには「楽」とされるシリーズが2つ残っているからだ。その相手はオークランド・アスレチックス(Oakland Athletics)とピッツバーグ・パイレーツ(Pittsburgh Pirates)。

しかし両チームはオールスター後に勝ち越しの野球をしており、直近の戦いぶりを重視すれば“数字以上に強敵”と言える。もしそれを勘案するなら、レッズの進む道は数字が示す以上に厳しいものとなる。

3. アリゾナ・ダイヤモンドバックス (Arizona Diamondbacks/アリゾナ・ダイヤモンドバックス)

対戦相手勝率:52.1%
残りシリーズ: vs ジャイアンツ、vs ツインズ、ジャイアンツ、フィリーズ、ドジャース、vs パドレス
プレーオフ進出確率:5%


アリゾナ・ダイヤモンドバックス (Arizona Diamondbacks) は、この記事で取り上げられたナ・リーグ西地区の4チームのうち、唯一「厳しいスケジュール」の側に分類されたチームだ。その理由は単純で、同地区の他チームと異なり、残り試合にコロラド・ロッキーズ(Colorado Rockies)戦が一切含まれていないからだ。

代わりに待ち受けているのは、ジャイアンツ、ドジャース、パドレスといった地区ライバルとの直接対決シリーズだ。さらにはフィラデルフィア・フィリーズ(Philadelphia Phillies)やミネソタ・ツインズ(Minnesota Twins)との対戦も控える。

度重なる故障やトレードデッドラインでの主力放出といった逆境にもかかわらず、ダイヤモンドバックスはここまでプレーオフ争いに踏みとどまり、シーズン終盤でも意味ある試合を戦っている。その事実自体が、ある意味で勝利と言えるだろう。

4. タンパベイ・レイズ (Tampa Bay Rays/タンパベイ・レイズ)

対戦相手勝率:52.0%
残りシリーズ: vs ホワイトソックス、vs カブス、ブルージェイズ(4試合)、レッドソックス、vs オリオールズ、vs ブルージェイズ
プレーオフ進出確率:1.3%


タンパベイ・レイズ (Tampa Bay Rays) は今週を3連敗の状態で迎えた。ただし、シカゴでの1週間の遠征、特に低迷するシカゴ・ホワイトソックス(Chicago White Sox)との3連戦は、チームが再び調子を取り戻すきっかけになるかもしれない。

その後はカブスとの3連戦を経て、残りシーズンをア・リーグ東地区のチームとの13連戦で締めくくる。そのうち10試合は、レイズより順位が上の相手だ。

今季のレイズは、トロピカーナ・フィールドのドーム屋根がハリケーンで損傷したため、ライバル球団のスプリングトレーニング施設で試合を行うなど、多くの困難に耐えてきた。そんなチームにとって、最後のこの過酷な日程もまた一つの試練に過ぎないのかもしれない。

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