トゥラング、なぜ“同点の死球”を避けたのか

NLCS第1戦：ドジャース戦での判断とマーフィー監督の見解

ミルウォーキー・ブリュワーズ（Milwaukee Brewers）はナショナル・リーグ選手権シリーズ（NLCS）第1戦でロサンゼルス・ドジャース（Los Angeles Dodgers）に 2–1 で惜敗し、シリーズを 0–1 の劣勢でスタートした。試合終盤の9回裏、満塁の場面でブリュワーズの二塁手 ブライス・トゥラング (Brice Turang) に打席が回る。そこで起きた“ある判断”が、大きな波紋を呼んだ。

Brice Turang was inches from wearing a game-tying hit by pitch. Instinct took him out of the way.

"Well, if you see me look in the dugout, I’m thinking, 'Damn.' I know it. Everybody knows it. I couldn’t tell you why I did it, I just got out of the way. That’s just how it is." pic.twitter.com/O5L41RRraL

— Adam McCalvy (@AdamMcCalvy) October 14, 2025

完全にデッドボールになっていた球を避け、そして試合終了へ

ブレイク・トレイネン (Blake Treinen) の投じた内角低めのボールは、ほとんどトゥラングの膝をかすめるように通過した。もし身体に当たっていれば、押し出しで同点となる場面だったが、トゥラングは反射的に身を引いた。
試合後、彼は率直に語っている。

「もしダグアウトの顔を見たなら、みんな“なんで避けたんだ”って思ってたと思う。自分でもわかってる。なぜああしたのか説明はできない。ただ身体が勝手に動いたんだ。自然な反応さ。」

結果的にその直後の投球でトゥラングは空振り三振に倒れ、ブリュワーズは逆転の機会を逃して試合を落とした。

ルール上の死球と、監督の評価

MLBのルールでは、打者が「ボールを避ける努力をしていない」と判断された場合、死球（Hit by Pitch）とは認められない。だがこのケースでは、ボールはバッターボックス内深く入り込んでおり、審判が死球と判定するのは難しいシチュエーションでもあった。

パット・マーフィー (Pat Murphy) 監督は、トゥラングを擁護するコメントを残している。

「球がこっちへ来たときの自然な反応は“避ける”ことだ。変化球ならなおさらだ。あの瞬間、彼も本能で動いたんだと思う。そういうことは起こる。彼はこの経験から学ぶだろう。だが反射的な反応を制御して、身体を当てにいくなんて簡単なことじゃない。」

若き内野手の成長と、チームの再挑戦

25歳のトゥラングは、レギュラーシーズンで打率 .288／出塁率 .359／長打率 .435（OPS+＝121）、18本塁打、5.5WAR相当の貢献を残した。攻守にわたる進化を示した彼が、この1球を巡る判断で責められるべきではない。

ブリュワーズは第2戦での巻き返しを目指す。トゥラングにとっても、この“分岐点”が成長の糧となるはずだ。