この日の8回2/3(126球)は、ウィリアムズ自身にとって今季MLB最多の投球回、最多球数の試合であり、まさにキャリアの頂点とも言えるスタミナと粘りを示す内容でした。
6フィート6インチ(約198 cm)、の長身右腕で、大学時代から高い制球力と奪三振力を併せ持つ投手。2021年ドラフト1巡目でクリーブランドに指名され、2023年にメジャーデビューしました。
2025年シーズンは今回の試合含め125イニングを投げ、ERA3.17(ア・リーグ20位タイ)、WHIP1.30(40位)、奪三振123(32位)と安定した成績を残しています。
4年目にしてようやく覚醒した“次世代の本格エース”という印象を確立しました。
現地水曜日午後のシティ・フィールド。
試合開始からギャビン・ウィリアムズは初回、ニューヨーク・メッツ打線の2本の痛烈なライナーが彼を襲うなど、苦しい立ち上がりから始まった。
しかし、この日のウィリアムズはキャリア最高の投球を披露し、球団史に名を刻むまであと2アウトに迫った。
9回1アウト、フアン・ソトがセンター後方へ運び、ジャンプ一番のエンジェル・マルティネスのグラブをわずかに越える一発でノーヒッターだけではなく完封、完投が途絶える。直後に登板したハンター・ギャディスが最後のアウトを奪い、4-1での勝利を一安打継投で締めた。
「あとほんの少しだったんだ」スティーブン・ヴォート監督は語った。
「絶対いけると思っていたよ。」
“Man, it was that close,” manager Stephen Vogt said. “I thought he was going to get it.”
混乱の初回から、圧巻の支配力へ
初回のウィリアムズは、まるで嵐の中に放り込まれたかのようだった。
試合開始からわずか2球目、フランシスコ・リンドーアが打ち返した打球は打球速度107.2マイル(約172.5km/h)の鋭いライナー。これがウィリアムズのグラブを弾くも、素早く拾い上げ、かつてのチームメイトを一塁で刺した。続くピート・アロンソの打球も痛烈なライナーだったが、今度は正面でキャッチして3アウト。
その後3イニングで3つの四球を与え、4回1アウトの時点で球数は61球に到達していた。ノーヒッターは現実味を失いつつあった。だがここからウィリアムズは圧巻の投球を展開し、わずか53球で次の15打者を連続で打ち取った。
「途中からは球数なんて気にしていなかった。140球だろうが関係なかった」と、これまでの自己最多109球を大きく上回る覚悟をインタビューで明かした。
運命を分けた9回
4点リードの9回、ヴォート監督は誰もブルペンで準備させず、ウィリアムズをそのままマウンドへ送った。
リンドーアを三振に仕留め、あと2アウト。しかしソトが高めの速球を捉え、センターへの一発で沈黙を破った。

試合後、「スパイダーマンみたいに捕れたらよかったのに」とマルティネスは悔しさをにじませた。
“Man, I wish I could be like Spiderman, get that ball,” Martínez said.
続くアロンソをフライアウトに打ち取ったものの、ニモにこの日3つ目の四球を与えたところで、球数は126球に到達。これは2023年8月29日、アレックス・コブ(ジャイアンツ)が131球で一安打完投した以来、MLBで最も多い投球数だった。ここでギャディスに交代し、3球でマーク・ビエントスをフライアウトに仕留めて試合終了。
賛否両論のフアン・ソト節
前打席からの“にやり”

SNSでも話題になっていた通り、「ソトは先の打席からニヤニヤしていた」という声も多数寄せられています。
とあるredditユーザーは次のようにコメントしています:
“He smiled after the pitch that struck him out in the 1st. … He was smiling as he positioned himself over the plate before he hit the homer too lol”
「彼、三振した後にもニヤってたし、ホームランを打つ前の構えの時も笑ってたよ笑」
明らかに“何かを起こす予感”を漂わせたソト。打席前から余裕を見せていたようです。
打席後、ソトは「ノーヒッターとか考えていなかった。ただ自分のスウィングを意識していた」とコメント。
ホームラン後も淡々とした姿で、むしろプロとしての集中を貫いたようです。
球団史とMLB史の狭間で
ガーディアンズのピッチャーが最後にノーヒッターを達成したのは1981年5月15日、レン・バーカーがブルージェイズを相手に達成した8人目の完全試合。それ以来、実に7,115試合で達成者は出ていない。
バーカー本人もこの日、プログレッシブ・フィールドで企業イベントに参加しており、その瞬間を見届けた。
ウィリアムズの快投は、2015年7月1日にカルロス・カラスコが2アウトから破られた試合以来、ガーディアンズ投手として最も長く続いたノーヒット・ビッドでもあった。
ブレイクイヤーを象徴する一戦
5月3日以降のウィリアムズの防御率はア・リーグでベストの2.08。威力ある速球と制球力で相手打線を封じ続けており、この日の投球はシーズンを象徴する“到達点”とも言える内容だった。
「ギャビン・ウィリアムズがようやく“お披露目”だな」と捕手オースティン・ヘッジス。
“Kind of Gavin Williams’ coming-out party this year,” said catcher Austin Hedges.
44年ぶりのノーヒッターは持ち越しとなったが、もし今回の投球が示すものが「本物」なら、ガーディアンズの「待ち時間」はもうそう長くはないかもしれない。
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